読書1、赤毛のアンナ 神保祐一

 もちろん、あの有名なカナダの小説赤毛のアンに因んだタイトル。孤児になった子供たちが生活する園で育った安那は高校を卒業後、一緒にそこで育った仲間や、普通の家庭で育ち、学校で友達になった人たちと疎遠になる。そんな時に、安那が男を刺して逮捕されたという報道に接した子供時代の友達は、驚き、そんなはずはないと、動きだす。なんとなく連絡を取らなくなっていた自分自身に後ろめたさを持ちながら、彼女を救うにはどうすべきか、弁護士の力も借りながら、安那の事件の動機を探る。子供時代にも遡り当時噂や孤児になった経緯なども辿りながら、安那の孤独や苦悩にも思い至る。

 残念なのはそこまでを丁寧に描けているのに、やむを得ず恋人を刺した部分に説得力がないことだけ。